そもそも名義変更プランは何か?という事から解説を行います。生命保険契約の契約者を変更する形態として考えられるのは、

 

「個人→個人」「個人→法人」「法人→個人」「法人→法人」

 

という4つのパターンです。

 

最近、特に注目をされている名義変更プランは「法人→個人」の形態であります。他の形態についても注目すべき点は数多くありますが、ここでは割愛をさせて頂きます。法人契約の生命保険を個人へ名義変更をするメリットは以下の通りです。

 

■ 法人で支払う保険料を損金計上する事が出来る

→法人で支払う保険料のうち、保険種類や契約形態・保険期間によって損金計上のルールは詳細に定められています。これに則った形で契約をすれば支払保険料は損金計上する事が出来ます。個人で契約した場合には生命保険料控除の枠内でしか所得から控除が出来ません。

 

■ 名義変更後、個人が保険料を負担する場合には、契約した当時の保険料のまま契約が継続するために保険料が上がらない

→個人で保障が必要な場合、その時点で新契約を締結するとその時点の年齢で保険料は計算されますが、以前に法人で契約していたものであれば、保険料は当時の年齢のまま個人で掛ける事が出来ます。

 

■ 法人で契約した後、被保険者が罹患し、新たに保険契約が出来ない場合などは、名義変更時は診査を行わないので個人へ保障を移転する事が出来る

→個人で保障が必要になっても、病気を発症した後であれば保険加入が出来ないケースがあり得ます。この場合、個人に保障が必要であれば法人契約の契約者を変更すれば個人で保障を確保する事が出来ます。

 

■ 名義変更時における保険契約の評価は、解約返戻金相当額で行うので、資産計上されている契約については名義変更に伴う損失が計上出来る。

→そもそも名義変更時における保険契約の評価を、解約返戻金相当額で行うのが一般的なので、その場合には資産計上額より解約返戻金が少ない場合においては、名義変更に伴う雑損失が計上出来ます。ただし名義変更時の評価を資産計上額(簿価額)で行う考え方もあります。※詳細は割愛します。

 

■ 法人で保険金を受取った場合、益金計上をするケースでも個人で受取った場合には非課税となるケースがある。

【所得税施行令30条1項(非課税とされる保険金、損害賠償金等)】

損害保険契約(省略)に基づく保険金、生命保険契約(省略)又は旧簡易生命保険契約(省略)に基づく給付金及び損害保険契約又は生命保険契約に類する共済に係る契約に基づく共済金で、身体の傷害に基因して支払を受けるもの並びに心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金(その損害に基因して勤務又は業務に従事することができなかつたことによる給与又は収益の補償として受けるものを含む。)

 

【所得税基本通達9-21】

疾病により重度障害の状態になったことなどにより、生命保険契約又は損害保険契約に基づき支払を受けるいわゆる高度障害保険金、高度障害給付金、入院費給付金等(一時金として受け取るもののほか、年金として受け取るものを含む。)は、令第30条第1号に掲げる「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」に該当するものとする。

→ただしこの場合、法人で支払った保険料相当額が給与として課税対象とみなされるケースもありますので十分注意が必要です。

 

■ 解約返戻金が低い時に低評価で法人から個人へ名義変更し、個人で保険契約を継続すれば保障を確保する事が出来る。

→終身保険や終身医療保険などを短期払にて法人で契約し、保険料払込が満了した時点で個人へ名義変更すれば、個人は低負担で一生涯の保障を確保する事が可能になります。

 

■ 解約返戻金が低い時に低評価で法人から個人へ名義変更し、個人で保険料を支払って高額な解約返戻金を受取る事で資産移転が出来る。

→これがいわゆる名義変更プランの主目的です。逓増定期保険などで一定期間解約返戻金が抑制されているタイプを活用し、解約返戻金が少ない時点で法人から個人へ名義変更し、その後個人で保険料支払を行い、解約返戻率がピークに達した時点で解約すれば、個人は多額な解約返戻金を受取る事が出来ます。

※ 個人受取時の一時所得課税については平成23年の税制改正でルール化されました。

逓増定期保険の名義変更プランは、具体的には以下の契約イメージになります。

 

低解約返戻金特則付逓増定期保険 保険金額1億円・年払保険料10,390,300円

 

<1年目>累計保険料10,390,300円 解約返戻金0円 解約返戻率0%

<2年目>累計保険料20,780,600円 解約返戻金840,000円 解約返戻利率4.0%

<3年目>累計保険料31,170,900円 解約返戻金2,710,000円 解約返戻率8.7%

<4年目>累計保険料41,561,200円 解約返戻金7,500,000円 解約返戻率18.1%

<5年目>累計保険料51.951.500円 解約返戻金49,290,000円 解約返戻率94.9%

 

この契約を法人にて契約し、4年間は保険料を支払います。そして5年目の保険料を支払う前に個人へ名義変更を行い、5年目は個人で保険料を負担します。すると個人負担は1年分の保険料10,390,300円と名義変更時の買取資金である7,500,000円合計17,890,300円の負担を行います。そして5年目保険料を支払った後に解約すると49,290,000円の返戻金を受取る事が出来ます。

 

実質的には49,290,000円-17,890,300円=31,399,700円増えた事になります。ただこの増加分に対しては一時所得課税が発生しますが、特別控除50万円を差引いた後に1/2を掛ける事が出来ますので、15,449,850円に対して税率を掛けた分を納税する事になります。

 

この逓増定期保険の名義変更プランにおいては、

 

1) 法人で支払った保険料についてはルールに従って正しく経理処理を行った。

 

2) 法人から個人へ名義変更を行う際に、取締役会(理事会)決議を取った上で、適切な評価を行った上で資金を個人から法人へ移動させた。

 

3) 個人で解約返戻金を受取った際には受取った年度に確定申告を行って納税をした。

 

というすべて正しい手続きを行ったとします。これら3つの手続きはすべて正しいのですが、そもそも「なぜ名義変更を行ったのか?」という理由が非常に重要になります。この理由が「脱税か租税回避か?」を決定付ける要因になります。

 

ここで重要なのは、逓増定期保険の名義変更プランは「節税」ではないという事です。節税とは税法が想定をしている範囲内で行う行為であり、逓増定期保険の名義変更プランは「法人契約を個人に名義変更する」という税法が想定していない行為を行う事で課税要件を除外する「租税回避行為」なのです。ましてや「個人解約時に支払調書が出ないので申告しなくてよい」というのは「脱税行為」であり、納税者は重加算税や延滞税が加算されるだけでなく、刑法により処罰の対処になる可能性があります。もちろん説明をした保険営業パーソンも「脱税幇助」として刑事罰を受ける可能性がありますので論外です。

 

この逓増定期保険の名義変更プランを採用する場合には、注意が必要ですが、ポイントを押さえれば効果的なプランでもあります。ご興味のある方は「法人保険の鉄人」へお問い合わせ下さい。