2013.3に大阪の会計事務所のご紹介で奈良にある精密機械の卸売りをされている企業にお邪魔しました。

元々はバブル後期に他代理店さんから決算対策で加入したたくさんの逓増定期を中心とした繰延商品がピークを迎えており、どのように対応すべきかの アドバイスを欲しいとのご依頼でした。

設計書等を見せていただき、会社の状況等一通りヒアリングさせていただいた後に担当者と同行。

3月後半の大和路は見るものを魅了する、いや癒される・・・という表現がぴったりの見事な景観でした、カブリオレで走ったら気持ちええやろーなー。

お昼一番にセットされた面談ルームでは、現社長・次期後継者役員(社長の血族外)・社長の右腕で財務を取り仕切って来た常務、の3人が迎えてくれました。

結論から言うと、社長は退任時期を今季・来期中に・・・との考えを示されており、保険に関しては「解約返戻金のピークアウトを避ける=現状のまま固定」が出来ないものか・・・との最終ご質問を既に準備されておられました。

保険の業に携わる方ならだれでもご存知な事ではありますが、生命保険は失効という技があります。保険会社によって再度復活(=元に戻す)という期間はまちまちですが、概ね3年間は特に経理処理も必要なく保険会社が解約金を預かってくれます。(ただし保険自体は効力を失います)

あれこれ方策を練った甲斐もなくあっけない質問に肩透かしでしたが、せっかくお邪魔したのだから何かお役にたてれば・・・といつもの志と立ち位置で、社長の株式保有状況をお聞かせいただき、次期後継者への株の移動の質問をさせていただくと、「まったくデッドロックになっている・・・」と。

じゃあ株価対策と株式の移動ですね、の一言から30分の面談予定が2時間になりました。

もう何年も体験していますが、供給側の懐の深さで、相手はどんどんお悩みを打ち明けてくれます。

簡易ですが、決算書を前にPL BS 別表4・5から株価を簡易計算させていただき、社長のご希望の退職金を支払った場合にこの株価がどこまで下がるか?実際にこの会社は株式評価上では中の小、現在時価50.000円@→400.000円  当初の退職金額支払いで200.000円@に、そして○○○○万円で100.000円@に・・・とiPadでお見せすると3人が椅子から乗り出してきます。

でも、ここには大きな落とし穴が・・・

それはこの会社の場合退職金の財源をすべて逓増定期保険で準備されておりました。

しかし株価の計算上退職金は特別損失、解約金は特別利益となり株価の引き下げができません。

そこで純資産は退職金決議した時点で、類似業種は期をまたいだ翌期に株価が下がるというロジックと、保険の解約時期をパワーポイントで解説しました。

そのころには僕は保険屋さんから先生と呼び方が変わっており、社長に「力を貸してほしい・・・私の相続税も面倒を見てもらえますか?」とのご依頼を頂きました。

そこで担当の会計事務所の方からお許しをいただいていたこともあり、「いつものヒアリングシートと必要資料を提示し、じゃあ組織再編を含めたご提案ができる状態で資産税の先生と再度お邪魔しますね・・・」と話を締めくくり、 大和路を後にしました。

早速、提携先の資産税の先生選びをというか、相手との会話でもう自分の中ではこの先生というのは既に決定していた。

特に資産税は平成13年から様相が一変した。

いわゆる組織再編税制だ。

我々の保険業界も同じだが、税法の世界は「昔取っ杵柄」はない世界、つまり国税と納税者との間で繰り広げられる課税の認識の違いが行為計算の否認やいわゆる「けしからん税」にまで発展する。

毎年でてくる判例や改正など勉強する量は半端じゃない・・・

実はこれらを第一線でやってる実務家はほとんどいない。

山ほど並んでる税務書籍もH13頃の解釈のまま書き綴っているのも少なくない。

数日後に早速、資産税の先生の事務所で一応の依頼人の要望や、お預かりした財務諸表をお渡しし打ち合わせ、翌週にアポを取り今度は先生を後席に座らせて自分がステアリングを握りいざ大和路をひた走った・・・

気持ちいい!!この瞬間は失礼ながら後席の先生のことを忘れてしまっていた(笑)

前回と同じ少し広めの会議室で、今回は5名での面談。

一通りのご挨拶と現社長の願いや思いを十分聞いたうえで、資産税の先生が「ボードを借りていいでですか?」の一言でプレゼンが始まった。

この会社は非常に業績も良く、株価の上昇を招いている要因は純資産の利益剰余金、過去の利益を大した対策もなく税引き後の利益がふんだんにたまっている。よって預貯金も多い。

社長は数年前から退職を・・・と口にしているがなかなか踏ん切りがつかない。

後継者は一従業員からの生え抜きで今のポジションを獲得したが、この現在の高株価で買い取る資金などもちろん持ち合わせていない。

お互いに話が出しづらいところへ、資産税の先生は当初この状況下なので種類株式・信託・一般社団法人へと展開、最終的に会社分割、その社長の想いから株式移転による新設会社の設立にと話は進み、その中で昔創った別会社があることが判見。

話は急きょ株式交換による親子関係の持ち株会社方式にと話がまとまった。

要するにこのスキームのメリットは

1.社長の別会社と今回の会社が親子関係になり万が一退職後も業務が維持できる。
2.子会社からの配当は益金不算入により利益剰余金のガス抜きが実現し、後継者の買取価格に近付けるまで純資産価格を合法的に下げることができる。
3.退職金を払わず株価が下げれるので結果、もっともコストのかからない株価引き下げが実現

退職時期をずらしたことで、現状保険は失効に、再度後継者のお名前で役員退職金の積み立ての逓増定期保険に加入。

親会社でも退職金を取るか?または辞めない会社なら資金を個人にシフトさせる逆養老と逓増定期保険。

後継者はこの親会社の持つ子会社株の買い取りをスケジュール通り実現していく、ここでの資金が足りなければここでも先ほどの逆養老や逓増スキームは活かすことが可能である。

合計で4本の生命保険契約をいただき、現在は社長の個人の相続対策、後継者の退職金の財源準備のご提案中です。

あくまでもコーディネーターが我々の仕事であり、「お役にたつ」「余人もって代えがたい人」に徹する。

お客様の笑顔を見ると、「もっともっとお役にたちたい!」というモチベーションから学習が止まらない。